2022 怒涛の読書&DVD視聴記
クリスマスは、
例年通り、ミルク酵母パンが売りのドイツパン屋さんから
シュトーレンを買ってきて、
日本製の酸化防止剤不使用のワインと
スモークチキンでお祝い。
…… クリスチャンではないですが、
イエスも尊いと思うし
何よりケルトに伝わる冬至のお祭りですから、
いよいよ陽が長くなるのかと
春待つ気分です。
因みに、シュトーレンも日本製ワインもスモークチキンも
好きなのでチョイス。美味しいよね♪
…… 『グレーテルのかまど』(NHK)を見ていて初めて知ったけど、
シュトーレンって「おくるみに包まれた幼子イエス」を表してるそうで……
それを思い出して、切る時一瞬……😅
でも、美味しくいただきました😄
さて、今年の回顧をーーー。
今年は静山社の映画鑑賞チケットプレゼントに当選し、
(有難いことです! 人生が変わった!)
GWの『ファンタスティック・ビースト ーダンブルドアの秘密ー』鑑賞に始まる
マッツ沼…からの〜
『ハンニバル』にどっぷり…からの〜
ヒュー・ダンシーの腐海に沈没…からの〜
アヤワスカなどのサイケデリックス(精神展開薬)への興味…..からの〜
(最終的にどれほど遠くまで行ったのかと思ったら、なんと!)
チベット『死者の書』へーーー
青い鳥は家の中にいたね〜!😂
メーテルリンクの「青い鳥」は
本当はチベットの夏を告げる聖なる鳥カッコウのことで、
そういう鳥がいることを知ったものの、
それがどんな鳥かわからなかったメーテルリンクが
チベットで尊ばれる「青」と合わせて
「幸せの青い鳥」を思いついた…….
と言う話が好き☆
ーーー 信じるか信じないかはあなた次第。
こんな本を読んだ!
今年のDVD視聴記は
マッツ沼記録と『ハンニバル』をめぐる記事をご覧いただくとして、
(MADS MAX 1、MADS MAX 2、MADS MAX 3、
MADS MAX 4、MADS MAX 5、
蠍座アヌラーダーとハンニバル、蠍座アヌラーダーとハンニバル 2)
以下は、11月〜12月の記録です。
本サイトの10月28日記事『あるがままに目覚めている』で書いた、
・『あるがままに酔う』(青井硝子、ビオ・マガジン、2022)
を読んだ後、ここに至る過程が描かれた2冊も追加で読みました。
・『雑草で酔う~人よりストレスたまりがちな僕が研究した究極のストレス解消法』
____(青井硝子、2019、彩図社)
・『獄中で酔う~逮捕という非日常がもたらす意識変容と愉快な留置場生活』
____(青井硝子、2022、彩図社)
エッセイ風なので読みやすいうえ、内容はずっしりてんこ盛りで、
知らなかった幻覚作用のある植物のこと、拘置所生活のこまごま、裁判の様子、実際の幻覚の内容等々…実に面白かったです。
で、青井さんの著作にも登場し、
彼の裁判を傍聴し続ける蛭川立・明治大学准教授(文化人類学)の著作も
中古で購入(定価の2倍! 新装版は3倍以上の値がついててビックリ)。
・『彼岸の時間 〈意識〉の人類学』(蛭川立、春秋社、2002)
蛭川先生はタイの仏教寺院で修行をなさり、
上座部仏教にもお詳しいのですが、
チベット仏教は(当時は)門前だけかな、と言う印象。
チベット仏教や密教の深みにまでは、踏み込んでいらっしゃらないようです。
文化人類学者だから、そんなに手を広げることもできないし
(ご専門は恐らくペルーのアヤワスカなど「シャーマンと幻覚性植物」かな?)
仕方ないことだと思います。
・・・この辺りで私は、
「じゃ、チベット仏教とサイケデリックスはどうなの?」
という疑問を抱き始めました。
ここでひとまず、サイケデリックスといえばビートニク、というわけで
・① DVD『Kill Your Darlings』(監督・脚本 ジョン・クロキダス、2013)
・② DVD『裸のランチ』(監督・脚本 デヴィッド・クローネンバーグ、1991)
を視聴。
①は、ハリー・ポッターのダニエル・ラドクリフ主演で
アレン・ギンズバーグ役。
彼が恋するルシアン・カーは、
企画段階ではベン・ウィショーだったようですが、
実際は「レオナルド・ディカプリオの再来」と呼ばれるデイン・デハーン。
むしろデヴィッド・ボウイに似ている印象。
どちらにしても危うい美男です。
作品はーーー
コロンビア大学の学園もの(ホグワーツの流れ)から始まるものの
そこはもうビートニクが香る、薬物と同性愛と殺人と…という内容。
これらは一つ一つ切り分けないといけない事柄だけど
まとめて描くからどうも共感しにくくて。
ホグワーツのような勇気凛々もワクワクもなく、
ただダニエルが俳優として一皮剥けたのを確認した、感じ。
②はピーター・ウェラー主演。ロボ・コップですね。
W・バロウズの原作とはかなり違うようですが、
原作は好悪が分かれるらしく(…)映画でいいや、と。
ウェラーはヨガを続けている爽やかさんなので、
腹に肛門があるようなねっとりした虫型タイプライターなどが
肛門で喋り始めるねちょねちょした展開でも、
ウェラーの清潔感でとりあえず保ってる作品でした。
・・・もうね、見ている間ずっと
名古屋弁を喋るニコちゃん大王みたいなキャラを
(自前の脳内天然サイケデリックスで)
発想した鳥山明先生って本当に天才!
と思い続けていました。
バロウズ、ニコちゃん大王を見たらどう思うんだろうね???
このあたりで、
外部から取り入れるサイケデリックスより
脳内天然サイケデリックス増やす方が良くない?
と思い始めたわたし。
(医療用サイケデリックスに関しては、また別の話)
ついでなので、60ー70年代のサイケデリック革命の父のドキュメンタリーも視聴。
「中古・非常に良い」が買いやすいお値段だったので購入。
・DVD『ティモシー・リアリー』(ナウオンメディア(株)、2005)
本人のみならず関係者の様々なインタビューや証言が充実した内容ですが、
特異なのは、彼の臨終と脳死判定の直後まで撮影していること。
リアリーは、『チベット 死者の書』の解説書も書いているようですが、
(『チベットの死者の書―サイケデリック・バージョン』八幡書店、1994。
現在、中古で15,000円越えです!?)
どうやら特定の師匠に師事したわけでもなく、
結論も、自分の頭部を冷凍保存し、いつの日か解凍して蘇ることを望むというもの。
DVDにもその一部始終が記録されています。
変な話ですが、
『ハンニバル』でグロテスクな映像には慣れていたし、
ヒュー・ダンシーがエセックス伯を演じていた
『エリザベス1世』(ヘレン・ミレン主演、2005、2 vols)を
見ていたこともあって、
ヒューそっくりの青い目の美しい首の映像を見ても、
ビアズレーのサロメのイラストを連想したくらい、
恐ろしさより美しさを感じさせるベースが出来ていたお蔭で、
リアリーの最期も正視できました。
ほんの数日前、イルミナティ・カードの「Head in a jar」を知った時、
(これが「メタバースを表している」ことも同時に知って)
リアリーの頭部を連想していました。
彼が、80年代のサイバーパンクに影響を与えたという意味が
その時、初めてよくわかったかな。
…… サイバーパンクは好きだったけど。
『チベット 死者の書』をサイケデリック的に解釈するのは、
今の時点の私は面白いと思うけれど、
それが脳内天然サイケデリックスによるものだということを
忘れてはいけないんですよね。
つまり、リアリーのように
即席で外部から取り入れても見られるよね?
と考えてしまうと、チベット仏教が目指すものと乖離してしまって
恐らく、着地点が全く変わってしまうのだろう、と。
だから、リアリーが最終的に選択した「頭部の冷凍保存」は、
チベット仏教的には、
「なんでそんなことすんの? それ、物凄い執着!」
になってしまうかな、と。
ま、目指してるものが違うのだから
結論の違いは当たり前なのかもしれないけれど。
なんとなくモヤモヤした気持ちを抱えて、次に読んだのがこちら。
・『DMT 精神の分子 臨死と神秘体験の生物学についての革命的な研究』
__(リック・ストラスマン/東川恭子、ナチュラルスピリット、2022)
DMTに関する臨床実験の一部始終が描かれていますが、
スピリチュアル系の読み物のような文体(訳文)なので、
501頁と言う厚さですが、
面白く読み進められました。
一番興味深かったのは、
DMTが見せるものは「幻覚」などではなく、
「多様なリアリティー」であって
DMTによって(介して?)別の世界に開かれる、
ということです。
臨死体験も異星人との遭遇も体内チップも…..
DMT被験者の体験談に次々と現れるというワクワクな展開。
・・・DMTって面白すぎる!
今年の私のトリはこのDMTですが、
『死者の書』だけでなく、
インド・チベット仏教僧の伝記や伝承に頻繁に現れる
仏国土や仏・菩薩との遭遇も
脳内天然DMT大放出によって開かれた世界なのでは♪
と思うと、外から摂取するサイケデリックスもいいけど、
やっぱりチベット仏教の修行だよね、という
私的な結論に至ったのでした。
だから青い鳥は家の中にーーー
私の中にもういたね、と。
脳内天然DMTって
人体が低酸素状態になると脳の神経を守るために分泌されるのだそうです。
…… だから呼吸法!と閃きました。
だから、ヒマラヤ・チベットで仏教修行法大深化!
空気の薄いチベットで、
さらに呼吸を長く止めるような訓練(クンバカ)をするということは
自前のDMTをどんどん生産する訓練をすること。
勿論、仏教徒はそんなふうには捉えないけれども
効果として、彼らは知っていたわけですね。
この辺りはもうちょっと自分の中で熟成させたい課題だな、
というところで、
今年を終えようと思います。
以下の3冊は、お正月の個人的課題図書😊
・『知覚の扉 』
__(オルダス ハクスリー/河村 錠一郎、平凡社ライブラリー、1995)
・『アマニタ・パンセリナ』(中島らも、集英社文庫、1999)
・『図説快楽植物大全』
__(リチャード・エヴァンズ・シュルテス、東洋書林、2007)
では、皆さま、良いお年をお迎えくださいませ。
(感謝! Frauke RietherによるPixabayからの画像)