MADS MAX 3

さらに続くよ、マッツ作品レビュー!

( ):役名 <>:監督名 ★見どころ ◆個人的感想

2009
・シャネル & ストラヴィンスキー(Coco Chanel & Igor Stravinsky)(イゴール・ストラヴィンスキー)<ヤン・クーネン>
ココ・シャネルをパトロネスにしたストラヴィンスキーの活躍と、ココとの別れが描かれる。★不倫ものです。色々庶民とは感覚が違うので判断不能、としか…😓。興味深かったのは、ストラヴィンスキーの「春の祭典」がディアギレフのプロデュースのもとニジンスキー演出で行われたこと。当時の舞台を忠実に再現しようと努めた劇中劇は珍しくて… 東洋に対する様々な誤解や思い込みがあるけれども、それも含めて面白く感じました。それと、この公演が不評で苛立ちながら控室に戻ったストラヴィンスキーに対しディアギレフが「怪物に出会ったらどうする?」と尋ねるシーンも印象深い。しばらく考えたストラヴィンスキーが「…闘う」と答えると、ディアギレフ「違う!歌え!」。ニジンスキーとの関わりを思っても、ディアギレフが善人とは思えないけれども、芸術に対する感性だけは本当に素晴らしい人で名プロデューサーだったんだな、と感じさせるセリフでした。◆メガネマッツを愛でるのも一興。セレブ達の話ですから、そう言う意味で目の保養にもなりますが、不倫ものなのでまたマッツ脱いでました…😩 嬉しい人もいるだろうけど、私はもういいかな。服着てる方が色気あるのにね。ただ、この作品がきっかけで、シャネルNo.5 と言われるものだけで20種類もあることも初めて知り、「お試し」を購入したのでした!(シャネル No5 ローが湿度の高い日本には一番合うかも♪)

・ヴァルハラ・ライジング(Valhalla Rising)(ワン・アイ)<N・W・レフン>
キリスト教が教線を広げる北欧(?)で、異教徒達の戦闘士奴隷として劣悪な環境に置かれていた隻眼の男の逃亡と戦いの旅を描く。★ワン・アイはどうやら幻視者。少し先の未来が見えるよう。ゲラート・グリンデルバルドかイエス・キリストか!?😀 ワン・アイだから、やはり北欧のオーディンをイメージしているらしい。恐らく、キリスト教に取り入れられた数々の行事やキリストの属性なども、もともとはケルトや北欧神話の影響があるし、救世主はオーディンで、その属性をキリスト教が引き受けたのだと主張しているようにも思えます。その意味で異教的な香りが高い作品。◆初めは『コナン・ザ・グレート』(1982、J・ミリアス監督、A・シュワルツネッガー主演)なのかと思っていたら、逃亡劇の途中からキリスト教宣教師達と合流し、『アギーレ/神の怒り』(1972、W・ヘルツォーク監督、K・キンスキー主演)になっていった…😅どちらにしても、キリスト教に対するアンチテーゼを投げかけているよう。仏教徒のマッツ・ファンには、またキツい撮影、役を演じてるなぁ…とため息ばかり😭 一応ラスト(?)に青空も見えるけれど、全編曇天の印象。ファンにはツライ内容・結末でした(いつものことだけど🥺)。

・ザ・ドア 交差する世界(Die Tür)(ダヴィッド・アンデルナッハ)<アノ・サオル>
マルチバースのSFサスペンス。画家のダヴィッドは自堕落な生活をしている。そんななか一人娘を自分の過失で死なせてしまい、慚愧の念に苛まれるダヴィッド。妻にも見限られ、酒に溺れる日々が続いたある日、通路に迷い込み、朽ちた一つのドアに辿り着く。そのドアを開けると… 。★冒頭から不倫で始まります。SFなので面白い内容ではありますが…。◆なんだろうなぁ?何かスカッとしないんですよね。原作は面白いんじゃないかな、と思うような。ところどころの映像的な歯切れが悪いのかなぁ…なんて生意気なことを言っていいのかどうかもわからないけれど。全体のトーンが重苦しすぎるんでしょうか。もっと乾いた感じに仕上げると、怖さが増したような気がしました。

2010
・タイタンの戦い(Clash of the Titans)(ドラコ)<ルイ・レテリエ>
古代ギリシャを舞台にした神々と人間の戦い。アルゴス警備隊と共にアンドロメダ姫を救う旅に出たペルセウスの冒険譚。★マッツは警備隊長ドラコ。カッコいいですね♪メインじゃないので、カメラから見切れる時も多いけど、見せ場も多いしかなり長くペルセウスと旅をしています。◆古代ギリシャ好きなら楽しめる作品。マッツも(例によって死んじゃうけど😭)カッコいいからいいや🌹

2011
・三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船(The Three Musketeers)(ロシュフォール隊長)<ポール・W・S・アンダーソン>
田舎からパリに出てきたダルタニヤンが、三銃士と出会い、リシュリューの陰謀をかいくぐりながら、盗まれた王妃の首飾りを取り戻す大冒険。★片目黒眼帯のロシュフォールとダルタニヤンの初対面シーンで、ロシュフォールがダルタニヤンの愛馬を馬鹿にしていたのですが、その前日に馬商人マッツの『バトル・オブ・ライジング』(2013)を見ていたものだから「馬の悪口を言っちゃいけない」と笑ってしまいました。馬への態度が違いすぎる😄… 田舎者だと蔑む時に馬の悪口を言うのはどの程度失礼なのか、感覚的にわからないんだけれど、隊長なら馬の大切さはわかっているはずだから、通りすがりの田舎青年の馬の悪口わざわざ言うのかな?…と馬商人マッツのせいで、妙に気になってしまった。◆ミレディがミラ・ジョヴォビッチだし、マッツは空の海賊よろしく飛行船に乗って暴れ回るし、派手で楽しい作品です。ただ、ロシュフォールって本来死なないキャラだったと思うけど、なんで死んじゃったんだろう?… と、また役で死ぬマッツを見てため息も漏れました。

2012
・ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮(En kongelig affære)(ヨハン・フリードリヒ・ストルーエンセ)<ニコライ・アーセル>
啓蒙思想家で町医者のストルーエンセは、あるきっかけから心の病を抱える王の侍医になり、王から絶大な信頼を得る。そのうち、王との関係が冷え切り孤独を抱えていた王妃とも愛し合うようになる。やがて王の最側近として権勢を振るうが、彼をよく思わない旧勢力に陥れられ…。★サブタイトルの「愛と欲望の王宮」と言うのは余りにもゴシップ好きな命名😩 不倫映画大嫌いな私が言うのもアレなんですが、これはそこらの不倫ものとはわけが違います。私はこの三角関係を、三人の純愛だと叫びたい!これは「純愛と革命の王宮」なんです!… と思えるのも、マッツがこれまで見てきたように男同士の関係もとても愛情深くて(沼堕ちさせて腐女子を量産し😄)、女性に対しては「妄想彼氏」と呼ばれるほど理想的だからこそ、王との関係も王妃との関係も、社会的に不適切極まりないし国家転覆犯の謗りを受けても仕方ないのだけれど、そうなるしかない、と思わせる説得力があるんです。とにかく、マッツの王と王妃それぞれに対する愛情の掛け方は、マッツしか醸し出せないものだと思うし、実際のストルーエンセがどうだったかはわからないけれど、マッツのストルーエンセは世界を納得させ、泣かせたことは間違いないことです。◆ 王のクリスチャン7世は Wikipedea によると統合失調症を患っていたかもしれないようですが、幼いころは極めて聡明だったとか。映画のなかでは、侍医選びのシーンでそれが示されていました。ストルーエンセの面接をしたとき、王はシェイクスピアの一節を口ずさみ、それに気づいたストルーエンセが続きを返すと、王は目を輝かせてさらに先を答える…。ストルーエンセはその場で、この王が実際は極めて聡いことを察知します。(どんどん綻んでいくマッツの表情からそれが見て取れて)ストルーエンセが医師として、この王をなんとか手助けしよう、良い方向に導こう、としていくのが感じ取れました。そして、イギリスから嫁いだ王妃に対しても、ストルーエンセは抗い難い力で惹かれてしまいます。彼女は、王子を産んで王妃としての務めは果たしたものの、遊び歩く王とはもう夫婦としての関わりはなく共に見られる夢もない。そんな時にイギリスにいた頃に興味を持っていた啓蒙思想を、今も密かに抱いているストルーエンセと出会ってしまうわけです。若さと美貌と才気に満ちながら孤独の中にいる王妃が、愛情深くて高邁な思想を持った王の侍医に出会ったら、それはもう同じ心と志を持つのは時間の問題。心に身体は従うでしょう。とても辛く感じるのは、王妃がストルーエンセに「あなたなら王を促し、国を良い方に導ける」と囁いたこと。その理想を叶えたいと彼は思ってしまった…ように描かれていました。啓蒙思想に触れた王妃が、心の病を抱える王をこの優れた(同じ志を持つ)侍医が導いてくれたのなら、と願ったとしても無理のないことです。それは、いずれこの国を治める王子のためにもなるはず。誰もがより良い方を目指していたはずなのに…。 デンマークでは7ヶ月のロングラン上映を記録したそうですが、日本なら確実に大河ドラマ案件です。一年間マッツのストルーエンセを見る年があってもいいと思ったくらい。私のマッツ作品五本指の一本です。

・偽りなき者(Jagten)(ルーカス)<トマス・ヴィンターベア>
職を失い妻と離婚したルーカスは、漸く幼稚園に職を得る。親友テオの娘のクララはその幼稚園に通い彼を慕っていたが、ある日彼に嫌われたと思い込み、つい、彼に不適切な行動をとられたと聞こえるような嘘をついてしまう。それ以後、ルーカスに街ぐるみの執拗な嫌がらせ、村八分が始まる。★ハリウッドのヴィランのマッツだけを見つづけたあとこの映画を見ると、マッツの演技の繊細さに驚愕します。本当に名優です。◆ 飼い犬まで(村の誰かに)殺された時には、(犬好きなので)ハンニバルかグリンデルバルトに変身しちゃえ!とつい拳を握ってしまったほどでした。このマグルたち完全にクルーシオだろう!(←一番思っちゃいけないヤツ😓)とにかく苦しく辛い作品ですが、自分が村人の立場に立たないと言い切れるのかどうか。投げた怒りはそのまま自分に戻ってくるような、苦い作品でした。二度は見られないけど、一度は絶対見て欲しい映画です。…… 因みにボツになったバージョンのラストシーンも撮影されていて、マッツはそちらの方が好きだと言っていました。それは、鹿狩りに出かけたルーカスが、何者かによって頭を撃ち抜かれる、と言うものでした。… マッツ、なんでこれの方が好きなの?😭😭😭

Move On(マーク)<?>
Deutsche Telekom 制作。謎のトランスポーターのスパイ・アクション風ロードムービー(?)。★ 美しい欧州の風景と多言語を操るマッツの七変化を楽しむ作品(としか思えない)💐マッツのPVと言っても過言ではない(断言🥳)。◆ネットに Deutsche Telekom 公式が上がっています(←検索してね!)。欧州の抱える政治的問題も織り込まれているようですが、マッツの容姿も衣装も背景の景色もマッツが話す言語も様々に変わるので、ただマッツに見惚れていれば良いのではないかと。

2013
・バレット・オブ・ラヴ(Charlie Countryman)(ナイジェル)<フレデリック・ボンド>
死者が見える青年チャーリーは、母の幽霊の言葉に従いアメリカからブカレストに向かう。飛行機の中で出会った隣席の男が縁で、彼の娘ガブリエラと知り合い、彼女の元夫ナイジェルに執拗に邪魔されながら、彼女との危うい恋を育んでいく。★ガブリエラに「ナイジェルほど美しい人はいない」と称されるマッツです。美しいものには棘がある。ナイジェルは暴力的短絡的で凶悪な犯罪者でもある男。ガブリエラに関わる男をすべて排除していきます。危険な男マッツがカッコ良すぎて、主人公が前に出ない気がしなくもない…😅◆ ルーマニアというのは西洋の映画では幻想的な扱いを受けるらしく、人狼伝説を描いたヒュー・ダンシーの『ブラッド・ウルフ(Blood and Chocolate, 2007)』もブカレストが舞台でした。… だから『ハンニバル』ファンの2次創作の中には、ナイジェルと画家のエイデン(ヒューの役名)をカップルにして登場させたものもあります😄 … 映画自体より、ファンの間ではナイジェルが一人歩きしているようです。

・バトル・オブ・ライジング コールハースの戦い(Michael Kohlhaas)(ミヒャエル・コールハース)<アルノー・ドゥ・パリエール>
実在の人物をモデルにした領主に対する領民達の反乱。領主から不当な扱いを受けた馬商人のコールハースは、王妃に訴えに出た妻が王宮で殺されたことから、領主に対する反乱部隊を組織する。一時は大勢力になるが…。★16世紀のフランスが舞台のようですが、佐倉惣五郎(重税の不当をお上に訴え出て処刑された江戸時代の富農の義民)みたいな感じなのかな、と。百姓一揆フランス版で、大抵リーダーは処刑されますが、フランスでもやはりそうだったのか、と。馬を可愛がる姿がとても美しいマッツでした。◆またマッツの役が非業の死を遂げるので… 😭😭😭 … ハンニバルやグリンデルバルドを呼びたくなる作品の一つ。

まだ続きます。

(アイキャッチ画像:invisiblesithによるPixabayからの画像

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