魔法界にも麒麟が来る!(1)

『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』を見た!

ハリー・ポッター・シリーズのスピンオフ…だけど、
ダンブルドアの活躍を描く………
魔法動物学者ニュート・スキャマンダーと仲間達の冒険大活劇、
『ファンタスティック・ビースト』シリーズ最新作、
『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』
を見て参りました。
ありがたいことに、キャンペーンで当選し、
ムービーチケットを2枚頂けたのです。

でも、周りに都合がつく人間がいない!?!
というわけで、久しぶりに1日に2度同じ映画を見るという
学生時代以来ないよね〜、な極楽GWの始まりです♪🥰

シネコン全盛になる前は、
東京にも文芸坐や名画座がたくさんあって、
一日中、入れ替えなしで
予約なんかせずにふらっと出かけて
映画見放題でしたね〜!
女性もお子様も安心して視聴できる・・・
空間ではなかったのは確かですが(……)、
危ないところに行かなければ(!)
安全に一日中楽しめた場所でした。

ま、とにかく。
今回はムービーチケットをいただいたので、
ネットで調べて午前・午後と1本ずつ
映画館を梯子して、それぞれ指定席を予約しました。

昔の名画座などは小さいけれど、
大抵、小さな舞台のようなスペースもあり、
スクリーンは観客席から少し離れていたので、
前から3列目が映画好きの特等席、
みたいなところがあったのですが、
最近のオサレなシネコンの劇場は、
3Dだったり音響機器が充実している大シアターはともかく、
一般上映の小規模シアターだと
客席とスクリーンの幅が通路分しかないので、
前から5列目くらいじゃないと
首が痛くて見られません。
というわけで、二回ともその辺りの席を予約しました。

結論から言うと、
ファンタビ三部作の中では一番面白かった!!!

以下はネタバラシがありますので、
ご注意ください!





麒麟が来る!

まさか、麒麟が魔法界にも来るとは〜!
しかも、国際魔法使い連盟のリーダーを選ぶ鍵になる、と言うんですから、
製作の方々、大河ドラマの『麒麟が来る!』見てた!?
(・・・そうだと楽しい!)

麒麟をめぐる冒険!
即席の、凸凹なダンブルドア軍団
・人見知りの魔法動物学者 ニュート(ラブリー♪)、
・鉄壁の守りに長けた呪文学教授 ラリー(カッコいい!)、
・ニュートの兄でイギリス魔法省闇払い局局長のテセウス(ハンサム♪)、
・魔法界の古い名家の出身 ユスフ(イカす♪)、
・マグルのポーランド系アメリカ人のパン屋 ジェイコブ(キュート!)
・控えめなニュートの助手 バンティ(実はハイ・スキル!)
が、いい仕事をしました!

…なわけで、そのメインストーリーも
かなり楽しめるわけですが、
今回私が衝撃を受けたのは、以下2点です。
① グリンデルバルド役がマッツ・ミケルセンに替わった
② 最終決戦地(国際魔法使い連盟のリーダーを決める場所)がブータンだった

① グリンデルバルド役にマッツ・ミケルセン

ファンタビ前二作のラスボスのグリンデルバルドは
ジョニー・デップが演じていました。
ジョニーは最近、何かと訴訟問題を抱えていて
降板することになったようですが、
個人的には、これまでのグリンデルバルドの目標が
今ひとつよくわからなかったんですよね。
ラスボスで、マグル世界のナチスすら
影で操ってるかもしれない感があるのだけど、
その悪さには奇矯さと強さしか感じられなくて。
(「奇矯」の部分は、
これまでジョニーが演じてきたキャラクターの影響も
あるかもしれない・・・)

それもあって、ファンタビはそれほど
面白いと思っていなかったのは事実です。

今回はムビチケが当たったので、
劇場で見ることになったけれど、
つまらなかったら
二回目、寝るな・・・とすら思ってました。
でも、
全然寝なかった!
まだ見られる!
いろいろ細かいところ、
もっと見たいくらい!

それはやはり、冒頭で交わされる
ダンブルドアとグリンデルバルドの
カフェでの会話シーンが
素晴らしかったからです。

グリンデルバルド役のマッツ・ミケルセンについては、
私は恥ずかしながら全く知りませんでした。
「北欧の至宝」と呼ばれている俳優で
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)
に出演していたようです。
(詳しい情報はこちらをどうぞ↓
『【北欧の至宝】マッツ・ミケルセン出演作まとめ!渋さ際立つ作品を厳選!』
(リンクは外しました。検索してみてください。)

ですが、「至宝」なのはもう、
登場してすぐにわかりますね。
グリンデルバルドの説得力といったら!

かつて美青年だったであろうダンブルドア
(『スターリングラード』(2000)のジュード・ロウの
真っ青な瞳は吸い込まれそうだった・・・)
が、「君に恋をしていた」と(もう何度目かの)
告白をしてしまう(させてしまう)圧倒的な存在感を
放っていたんです、ミケルセンは。

今は、とても渋くてクールで紳士的な「おじさま」の
グリンデルバルドから仄見える
北欧の神・オーディンのような
世界を破壊する凶暴さと人智を凌ぐ知性と
ひとを惹きつけて離さない魔術的な魅力ーーー。

グリンデルバルドが奇矯で強いだけなら、
あのダンブルドアが「恋する」わけないのだけれど、
この荒々しいまでの激情と冷徹な知性を兼ね備えた
美しい北欧の神の如き青年に出会ったら、
アルバス・ダンブルドアでなくても
惚れてまうやろ〜!

この物語のメインは
麒麟をめぐるダンブルドア軍団の大冒険なのだけれど、
通奏低音で流れていたのは、
革命を望む若き日に出会った
悪魔的な恋人との
愛と訣別の物語でもあったんですよ。

とても悪い宗教や思想に
そうとは知らず足を踏み入れてしまった
純粋な魂が
抗い難い魅力のカリスマに
身も心も委ねかけた・・・
幸いなことに、道が違うことに気づき
彼の元を去ることができたけれど、
元カレは、柔らかい網を張り、
静かに、確実に、ひたひたと
よりを戻さないかと囁き続ける…。

そんな二人の絶え間ないせめぎ合いが
そこかしこから感じられて
楽しい冒険大活劇だけじゃない深みを
感じさせてくれる「オトナ」な物語だと
すぐに気づけるわけです。

マッツ・ミケルセン、素晴らしい!
ジュードとの相性が、素晴らしく良い!

どう見ても、ジュードのアルバスが
完全にマッツのゲラートに惚れ込んでて、
ゲラートがおおらかに包み込んで(いるように見せて)
いたことが透けて見えるから凄い!

でも、その元カレ、
世界を良くする熱い革命の心を煽るだけ煽って
テロルの世界同時革命に向かわせる
破滅と束縛と支配を「愛」と呼ぶひとだったのだけど。

これね〜、こう言う危険な恋人ね〜
ハマるともうズブズブになるよね・・・
底なし沼なのよ、こう言うタイプ。
おそらく本人には、
自分が「悪」だと言う自覚がない、
どころか、誰よりも「善」であると
信じ込んでいるかもしれないところが
本当に恐ろしい……抜けられない……

アルバスとゲラートは若気の至りで、
「血の誓い」をしてしまったわけだけれど、
ゲラートは誓いのネックレスをはずせたようなのに
(前作で二フラーに盗まれた!)、
アルバスははずせないんですね。
・・・これ、魔法とは別に
アルバスの想いも象徴してるよね、と。
アルバスの心のどこかには、
ゲラートへの想いがまだあって、
自分の側に来てくれたのなら、
どんなにかいいのに(また二人で…)
と言う心が、実は潜んでいることに
きっと本人は気づいているのではないか、と。

そんなことまで勘繰らせてくれるんですよね〜♪

一番、震えたのは、
最後にゲラートがアルバスに
「この先、誰が君を愛してくれる?」
という言葉を投げつけるんですが、
あ〜これダメでしょ!
これは、愛の告白であると同時に、
恐ろしい呪句、呪縛の魔法になるんですよ!

「アルバス、君を愛するのは僕だけだよ」
「アルバス、僕以上に君を愛せるものがいると思うか?」


これはダメだこれはダメだ……
悪〜いヤツほど平気でこんな言葉を囁き続けるのです……

物語の最後、
ジェイコブとクイニーの結婚式場(パン屋)の前まで、
ニュートに会いに来て、
中のみんなの楽しそうな様子を眺め、
雪の中、背を向けてたった一人去っていく
ダンブルドアのその姿に
涙せずにはいられない・・・

なんかね、
ダンブルドアがハリーを愛したのは、
ハリーが大切だったのはもちろんだけど、
ヴォルデモートを宿していたからなのかと、
つい感じてしまいました。

ゲラートが、自分の傍で
自分を信頼し、共に戦ってくれたら。

ヴォルデモートに成り変われるハリーは
グリンデルバルドの道を選ばない
愛しの恋人の姿
だったのかな、と。

想いもよらず、
そう育ててしまったのかな、と。

・・・そんな深みに誘ってくれた
ファンタビ最新作でした。

②については、
(2)に続きます。

(感謝!Anna KłosによるPixabayからの画像