MADS MAX 2

マッツ出演作レビュー、続くよ〜!

2003
・フレッシュ・デリ(De Grønne slagtere)(スヴェン)<A・T・イェンセン>
食肉店に勤めるビャーネ(ニコライ・リー・カース)とスヴェンは、パワハラ店主に腹を立て独立を決意。二人の店を開くが、ふとした事故から冷蔵庫に人を閉じ込めてしまい…。のちの『ハンニバル』も連想させるブラック・コメディー・ホラー?(としか言えない…) ★とにかくスヴェンの容姿が見もの。天頂近くまで剃り込んだ(禿頭)姿のマッツに驚き、汗かきで短気で気難しい…マッツ言うところの「一つも自分と共通点がない」キャラクターがかなり秀逸。植物状態から蘇ったビャーネの双子の弟アイギル(ニコライ二役。元々出産時の事故で脳を損傷した上に後の事故で損傷…とブラックすぎる設定😳)との会話が殆どコント。アイギルがボケでスヴェンが辛辣なツッコミ。ビャーネとの会話は、ビャーネが真っ当なツッコミでスヴェンがボケのコント。ニコライとマッツの呼吸が最高に合ってて、かなり笑う😄スヴェンのダンサブルなのにかなりダサいと言う絶妙なボーリング練習シーンは必見!◆以前も書きましたが、やっぱり私のマッツ作品5本指に入る映画です。ブラックすぎるんですが、一度日本人の倫理観を横に置けば、モンティー・パイソン・テイストも好きだしニコライとのコンビも最高で、「名優マッツ」を彩る一作かなと。

・Torremolinos 73 (マグヌス) (ー死神ー)<パブロ・ベルヘル>
夫婦のセクシャルビデオを撮る話に乗る主人公と妻の…コメディ?マッツは主人公が撮る映画の死神役。★ ネットを探せば見られますが、トレーラーを見たところでは『エリザベート』の死神タイプ。美男系死神😅◆見た人によると、かなりぶっとんだ内容らしく、特に勧めないけれど一見しておくのは良いかも、と言う感じのようです。ちょっと見てみたい。

・Nu(Now) (ー主人公ー)<サイモン・スタホ>
Vildspor (1998) と同じ監督作品で、ほぼモノクロの無声映画(冒頭のみ声あり)。死の床にある老人が後悔に満ちた出会いと別れを思い出す。その回想中の主人公がマッツ。女性と結婚し(試験的に?)子供も作ったものの、男性との愛情関係を選び、女性と子供を捨ててしまう。その結果 … 。★恐らく当時のデンマークでは問題作だったのだろうと思います。マッツ沼女子界隈では、相手役(ミカエル・パーシュブラント)との濃厚キスシーンが有名。◆ 30分ほどの作品で、暫くDVDも出回らなかったのですが、最近ネットに上がっています。

・Men with nothing(ー男ー)<オーレ・ボールネダル>
舞台。Aveny-T で上演。二人芝居。共演:デヤン・クキッチ。冷凍庫に閉じ込められた二人の男。マッツは妊娠・分娩する役。★未見で情報も少ないのですが、KultuNaut のアーカイブにある模様(←検索してね!)。最近、日本でもそんなドラマがありましたが、この時代に舞台でそういう役を演じてたんですね。◆兎に角マッツ、演技に対しては貪欲で、本当に様々なキャラクター、シチュエーションの役を演じています。だから、見ていて苦しい作品も多いけど、名優の演技のヴァリエーションを味わう楽しみもあります。

2004
・キング・アーサー(トリスタン)<ジェリー・ブラッカイマー>
アーサー王と円卓の騎士の物語。★ヒュー・ダンシー(ガラハッド役)との初共演作。マッツ沼で有名なのは、トリスタンとガラハッドの会話。
ガラ「お前らと違い人殺しは嫌いだ」
トリ「癖になりゃ楽しいぞ」
のちの『ハンニバル』を彷彿させるシーンもあり、二人は「トリガラ」とコンビ名で呼ばれ、SNSでは次々と2次創作も作られるほど愛されています。◆トリが剣を取って戦うシーンが美しいと評判。マッツが国際的に知られるようになった作品。まだ英語がぼそぼそ聞こえて、それが斥候担当らしいトリスタンのワイルドな持ち味になっていました。手乗り鷹を可愛がっている感じもキュート。私もトリガラ大好きで、DVDを買ってしまいました🌹■ディレクターズ・カット版では騎士たちが雑談するほっこりシーンがカットされているようです。騎士たちのほっこりシーンを見たい方は、通常盤をお求めください。… ディレクターにとっては騎士たちほっこりはカットする内容だったのね〜(泣くファン多数)😢

・プッシャー2(トニー)<N・W・レフン>
『プッシャー』の続編で、タコ殴られて途中退場したトニーが主人公。刑務所から出所し、父の自動車修理工場に戻って来たものの、父は歳の離れた義理の弟だけを可愛がり、トニーには辛くあたるばかり。自堕落な暮らしを続ける彼に、一度関係を持った娼婦が赤ん坊を連れてやってくる。初めは面倒くさいと思ったものの、赤ん坊に愛情を感じ始めたトニー。父親らしくなりたいと思い始めるのだが…。★マッツはスキンヘッズで顔が怖いです。極めて下品な言葉を吐き続けますし、全裸でぼかしもしばしば。◆全編暴力とS○Xに満ちていて、赤ん坊は救いなんだけれど、ラストシーンを見ても「これからどうするの???」としか思えない。ただ、この時すでに2児の父のマッツは、赤ちゃんの扱い方がうまいことうまいこと。そこだけちょっとトニーじゃなかった😅…赤ちゃん、トニーに抱かれても全然泣かないんだもの。普通泣くと思うよ、あんな殺気立ったスキンヘッズに抱かれたら。ただ、マッツ体当たり作品なので、当時の評価は高かったようです。

【2000〜2004】(テレビシリーズ)
・UNIT ONE(Rejseholdest)(アラン・フィッシャー)<?>
北欧ノワールの刑事ドラマ。新たに責任者として赴任した女刑事イングリッド・ダールのもと、刑事達が凶悪犯罪に挑む。★マッツは繊細な若手刑事役で登場。4年で計32話に出演し、お茶の間の人気者になったようです。◆未見のため、海外輸入版のDVDの解説を抄訳しました。パッケージの写真やSNSに上がる画像を見ると、黒い革ジャン姿のワイルド刑事のようです。その実、繊細で優しいキャラなのかな?リージョンフリーのプレイヤーなどがあれば輸入盤で見られます!

2005
・アダムズ・アップル(Adams Æbler)(イヴァン)<A・T・イェンセン>
更生プログラムの一環で田舎の教会へ送られるネオナチのアダム。牧師(マッツ)は暖かく迎えるが。この教会の住人はアダム以上におかしな連中だった…★未見ですが、ドイツ製DVD(日本とリージョンが一緒)を購入したので🥰、近々見る予定です。イェンセン作品で牧師役だから、きっと普通じゃないと思うけど。◆見たらまたご報告予定。

・Klovn(Mads)<?>(テレビシリーズ)
第1シーズン第8話「Str. 44」に登場。◆未見。Wikipedia からの情報しかありませんでした。ゲスト出演的な登場かな?

2006
・アフター・ウェディング(Efter brylluppet)(ヤコブ)<スサンネ・ビア>
インドで、潰れかけの孤児院スタッフをしているヤコブは、ある日、デンマークの実業家ヨルゲンから、援助する代わりにヤコブ自身がデンマークまで来るように言われる。故国を捨てたつもりのヤコブがしぶしぶ帰国すると、ヨルゲンに娘の結婚式に誘われる。成り行きで出席することになったヤコブは、そこでヨルゲンの妻になっていたかつての恋人と再会。やがて、ヨルゲンがヤコブを呼んだ真の目的がわかる…。★赤ん坊の頃から世話をしているインド人孤児の少年とのやりとりは、マッツの子供好きな一面が窺える可愛らしいシーンです。◆不倫にも走らず、マッツがちょっと幸せなまま終わる数少ない作品のうちの一つで、私は二回見直しました。それくらい良かった。ビア監督は登場人物の心理描写を丁寧に描く人なのでしょう。この話でも、元恋人(ヨルゲンの妻)の心情が痛いほどわかります。インドで沈没していた夢見るだけのダメ男のヤコブと別れ帰国するのも当然だと思うし、支えてくれる努力家の男子と同じ夢を見ようと思う気持ちもわかる。ダメ男から奮起して、本当にインド人孤児のために奮闘している今のヤコブの努力もわかる。そしてヨルゲンがヤコブを呼んだ理由も…。色々な気持ちが全部わかるから、胸に沁みます。おすすめ作品です。

・ダークロード -闇夜の逃亡者-(Exit)(トーマス)<ピーター・リンドマーク>
トレーダーのトーマスが犯罪に巻き込まれ、とにかく逃げ続けるサスペンス・アクション。…ラストに大どんでんが。★スウェーデンの作品だから、スウェーデン語話してるんだと思うけれど、デンマーク語と区別がつかないからわからない😅。トレーダーというかベンチャー企業人マッツは珍しくて、眺めるのに最適。◆ディスるつもりはないけれど、北欧の映画って今一つ突き抜けた感じがない、というか🥺。なので、これもどうもスッキリしないし、ラストもヒネリが効いてるんだけれど ……… 。思い浮かべていたのは、ロマン・ポランスキー監督作品、ユアン・マクレガー主演の『ゴーストライター』(2010)。ユアンは今じゃすっかりオビ・ワンになっちゃったけれど、当時は野心も才気も狡さもある感じが良かった。全編地味なトーンなのになぜかわからない不安感が押し寄せるゾクゾクする映画で、ラストがあまりにも恐ろしすぎるんですよね。サクッと胴体斬られたような、声にならない声を上げるほどの怖さ。… もしもポランスキーなら、マッツのこの映画も全然違ったんじゃないかな、とつい思ってしまいました。その意味で、ちょっと惜しいかな。

・007/カジノ・ロワイヤル(Casino Royale)(ル・シッフル)<マーティン・キャンベル>
武器商人を追うボンド。やがて、テロ組織から調達した資金をマネー・ロンダリングしながら運用し還流させているル・シッフルという男に辿り着く。ボンドは彼のカジノに潜り込み、ル・シッフルと対決するが毒を盛られ捕まってしまう…★左目から血の涙を流すという印象的なヴィラン役で、世界を魅了したマッツ出世作…と言えるのかな?ボンドを裸にして拷問するシーンも有名。◆つるんとした宇宙人みたいな顔したマッツ。冷酷そうな印象は好きな人はたまらないかも。個人的には「殺しのライセンス」はバンコラン少佐(Cf.『パタリロ』)だけで良いと思っているので、この作品でもずっとマッツを応援してました。クールなマッツも良いね〜♪

・プラハ(Prag)(クリストファー)<オーレ・クリスチャン・マセン>
父の遺体を引き取りにプラハにやってきた夫婦だけど、二人の関係は冷めきっていて…★未見ですが、クチコミによるとドジなマッツが可愛いとか。◆この年発表作が多いですね。お仕事頑張ってたね、マッツ♪

2008
・誰がため(Flammen & Citronen)(シトロン)<オーレ・クリスチャン・マセン>
デンマークでは有名なレジスタンス運動家達を描いた作品。原題の「フレメンとシトロン(炎とレモン)」は実在する二人のコードネーム。上司から指令を受け、「誰のためか」を問い続けながらナチ協力者を暗殺していく二人。やがて彼らを待つものは…★監督は『プラハ』の流れだったのかな?マッツのシトロンは、シトロエンに勤めていたことから付いたのだとか。面白かったのは、離れて暮らしている(レジスタンス運動家だから帰っていない)妻が娘を連れて工場にやってきて、無心をするシーン。活動してるから給料も家に入れていないらしく、家族は困窮。娘の誕生日のケーキも買えないと知った途端、「そんなことじゃダメだ」と工場仲間からお金をかき集めて(みんなも貧乏なのに)ケーキを買って車の中でお祝いしてあげていた。…戦前・中の日本の活動家だと、家庭は完全に捨ててると思うけど、ここら辺の子煩悩な感じ(子供第一)は今のデンマークもそうらしいから、「普通のデンマーク人」を表すシーンなんでしょうね。また、実は上司が自分に都合の悪い人間を殺させているだけで、本当はナチと関係ないのじゃないかと疑念を持ちつつも、殺し続けてしまう苦悩のマッツが全編、見られます。メガネマッツ好きには(辛いけれど)大切な作品。◆フレメンとシトロンのレジスタンス運動もイギリス諜報部と連携をとりつつ行っていたらしく、本当にイギリスとは関係が深い。このせいで、デンマークは戦勝国側になったようですが、暗殺指令の動機は不透明。ナチ加担者認定がイギリスと関わるレジスタンス上層部が行っている、って言うことも、視聴者にも疑問を投げかける作りでした。一番感じていたのは、坂本龍馬と西郷隆盛が実はイギリス政府と結託した岡田以蔵と田中新兵衛だったかもしれない、と言うこと。つまり、日本人にとっての龍馬達ほど有名だけど、行っていたことは大国の意を汲む人斬りでしかなかったのではないか、と。ただ、そう断罪し切れるのか、と誰もが思うのでしょうね。非人道的な圧政に誰も声をあげられない中で声をあげた人々だったことも事実だろうから。… マッツが言ってたけど、デンマークでも二人の評価は分かれるようです。

・Julie(Harald)<?>(テレビシリーズ)
娘大好きパパマッツが見られる作品。★未見で情報も極端に少ないため、十和さんのマッツ鑑賞会@福岡 2回目開催しました💞(←検索してね!)を参考にしました。◆DVDも殆ど出回らないようですが、可愛い話だったとか。Wikipedia によると計6話に出演。見たいものですね〜♪


・・・まだ、2008年だ。
続きます。

(アイキャッチ画像:ドイツ製4枚組DVD封入ブロマイドより
『フレッシュ・デリ』のスヴェン)

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